1) 2016.4.22 Kick Off Meeting @ 東京
2-1) 2016.5.7 Field Hack 1日目 @ 女川
2-2) 2016.5.8 Field Hack 2日目 @ 女川
3) 2016.5.29 成果発表会 @ 女川2016.5.29 成果発表会 @ 女川
2016年5月29日(日) FiledHack ONAGAWA の成果発表会が、宮城県牡鹿郡女川町(ONAGAWA)で開催されたので、参加してきました。
「Field Hack」とは、地域内外の参加者が協業し、地域で様々なフィールドワークを行い、そこで見つけた課題や可能性をもとにアイデアを練り、お互いにスキルを出し合ってプロトタイプをつくり、実際に現地で試してみることを目指します。
女川町(ONAGAWA) は、その第一弾のチャレンジです。
https://www.innovationtohoku.com/special/field-hack-onagawa/
さて、前回女川に来てから3週間が経過したのですが。。。
我々のチームは、当初5人だったメンバーが、最終2人になってしまうというトラブル。
誰が悪いというわけじゃないのですが、
・自分が決めたのではなく、事務局に組み合わされたチーム
・それぞれ遠方からの参加
・3週間という微妙に長い期間
という状況は、ちょっとした事由から「いちぬけた〜」って、なりやすいのでしょう。
なかなか難しいですね。
最初からメンバーが2人だと、やりようがあるかと思うのですが、メンバーが自然消滅的に徐々に減っていくのは、どこまでチームの総意を得て進めるべきか中途半端な状態が続き、ストレスフルでした。
途中、自分が何のためにがんばっているのかわからなくなり、発表会に参加するのをやめちゃいたいくらいだったのですが、もうひとりの相棒と相談し、よくわからない意地をひねり出しました。
そして、なにかしら形付けるために、28日(土)から女川町に前乗りし、徹夜仕事で発表するプロトタイプを強引に仕上げました。
そんなこんなで、当日がやってまいりました。
女川町に午前中から、深夜高速バス組、飛行機組、新幹線組、自家用車組、が、それぞれパラパラとあつまってきます。
シーパルピア唯一のカフェを占拠し(長居してごめんなさい)最終調整するチームの面々。
発表会場前で、調整する面々。
うちのチームは「これからプログラムを触ったら、たぶん壊しちゃうから、人事を尽くして天命を待とう」状態でした。ただただ眠かっただけなんですが。
12:30 に会場がオープンしました。
■ スケジュール
12:30-13:00 設営準備
13:00-13:15 概要説明
13:15-13:45 女川にいさん・ねえさん入りデモ
13:45-14:00 途中休憩
14:00-14:05 (ここから一般観覧者も参加)イントロダクション
14:05-15:05 各チームの発表5分、講評3分
15:05-15:10 全体講評
15:10-15:40 ブースを回り、デモに触れる時間
15:40-16:00 撤収■ 13:15-13:45 女川にいさん・ねえさん入りデモ
最初に女川にいさん・ねえさんが、みんながつくってきたプロトタイプに触れてもらう時間です。
※ 女川にいさん・女川ねえさん・・・現地の課題に正面からぶつかっている、今回のFieldHackの協力者たち
女川にいさん・ねえさんは、今回のクライアントなのでしょうか、サポーターなのでしょうか。
最後まで、立ち位置がいまいちわからなかったのですが(苦笑)、いろいろ触っていただきます。
あちらこちらで、驚きの声が聞こえます。いいですね〜。
ところで、我々 TABE HACK の担当にいさんは、飲食店の店長さんです。
ランチタイムに厨房ほうったらかしにして、来られる訳ありませんよね。とほほです。
(もちろんすこしおくれて参加いただきました。ありがとうございました)
■ 14:05-15:05 各チームの発表5分、講評3分 〜 プレゼンテーション 〜
TEAM A SEA HACK
「商売の基本は『安く買い、高く売る』だが、これからの女川町の漁業での流通は『高く買い、高く売る』という観点にたち、漁師さんもみんな幸せにならないといけない」
という強い思いを、女川にいさんがお持ちで、そのコンセプトから組み立てられました。
現在、日本全国はもちろん、香港などからも魚の買い付けがはいる。
いまはLINEでのやりとりも主流になっている。魚の写真を共有し値付けしてもらって売っている。
そこで、
・魚を美しく撮影する小型フォトスタジオ
・そこで撮影した写真画像をLINEで一斉配信する仕組み
を提案されました。
このあとは、魚のフラッシュオークションシステムなどにも連携していけるでしょう。
ここは、課題が明確で、ともすれば受託開発に近い状態だったのではないかと思います。
きちんと女川にいさんの思いを組んでて、とてもすばらしいなと感じました。
TEAM B TABE HACK(私達のチーム)
結論から言うと、課題発見がとてもむずかしかったです。
1)飲食業をテクノロジーで課題解決することがミッションだけれど、この商店街が始まったのがほぼ昨年の12月。そこから五月雨式にお店がオープンしてきている。純粋に飲食業として改善するべきことが少なくなく(メニュー改善とか開店時間の変更とか)、インターネットを使ったりの取り組みって、まだ少し先だったんじゃないかな。
2)誰かひとりの課題をみつけるではなく、飲食業の総合的な課題をみつけるのは、かなり難しい。(1)のこともありそれぞれのお店ごとに課題が違う状態。
3)ゴールデン・ウィークや、しかもランチタイムとか飲食業の忙しい時におじゃまして、ごめんなさい。
ということで、女川町における飲食業界の明確な課題を発見することはできませんでした。非常に残念です。
でも、プレゼンは相棒が上手にこなしてくれて、会場都合でスピーカーがつながらなかったのだけれど、あのオープニングテーマ風な曲をハミングしたり、つかみはオッケー!でした。ありがとうございました。
さてそこで、飲食店から若干はずれた感あるのですが、「お客さんが増えて欲しい」というばっくりした課題を元に、女川町に来る観光客が、楽しみながらお店の情報をみつけられるようなARのプロトタイプをつくりました。
駅から降りて、見渡せるシーパルピアという町。
とてもコンパクトなサイズなんですね。たとえるなら、ドラクエの町くらい。
ですから、ARで、それぞれの店、店主、通行人に、吹き出しをつけ、街の情報を楽しく見られるようにしました。
・お店の上には、お店のオススメや店主のTwitterのタイムラインがポコポコ上がっている。
・駅の方向をみると、空に「次の電車まであと1時間32分です」と表示される
・賑やかしに、そこらへんを魚が泳いでる
といったかんじです。
ついでに、せっかく飲食店なので、
・女川丼をみると、それぞれの原材料の魚の元の姿が空中に表示され一目瞭然
・日本語飲食店メニューをみると、英語メニューになって読める
など、ありがちネタではありますが、必要だろうと、放り込みました。
3Dプリンタで、スマホをARグラスにするゴーグル型筐体もつくりました。
なぜだ。。。それらの写真がない。。。
プロトタイプを作ってみるまでは「ARってありがちネタだなぁ」、「わざわざつくっても、技術的に別段新しくもないし、なんだかなぁ」と思っていたのですが、実際に作ってみて情報をプロットしてみると、女川町って想像以上にサイズがぴったりで、うまく活用すれば、いい効果がえられるだろうなぁと、自画自賛したくなるプロトタイプに仕上がりました。
実際に作って試すって大事ですね。
TEAM C YAMA HACK
森のクリエィティブコモンズ という発想。
森のそれぞれの区画が活用しにくいのは地権者がばらばらだからという課題。
それに対して、それぞれの、地権者が、自身の持つ土地を
・非商用なら勝手に木を切っていい
・アート作品を自由に飾っていい
・散策してもいい
など、クリエィティブコモンズのように、「つかっていいよ」というルールを明確にしオープンにする。
森を使いたいとおもっているひとたちが、使いやすくなる仕組みの提案でした。
仕組み・アイデアはいいなと思ったのですが、プロトタイプとして「動くもの」を何を作ったのかわかりにくかったです。
結果、WEBページをつくっただけになっちゃったのかな。
このアイデアについては、WEBページだけでも、十分な気もいたしますが。
地権者問題は、それぞれの所有者を調査し連絡をとるだけでも大変な状況でしょうから、実現するのはかなり困難だと思います。
でも、だれかが真剣に取り組み、少しでも「森のクリエィティブコモンズ」が実現したら、日本全国の森が抱える問題の課題解決の一歩になるかもしれないなぁと感じました。
TEAM D EDU HACK
EDUはエデュケーション、学びという意味です。
今回は、放課後に小学生があつまる塾のような場所がテーマです。
課題は、出席管理が煩雑なことや、生徒の帰宅方法がバスなのか徒歩なのかお迎えがくるのかバラバラだったりするのだけれど、おうちに無事到着するまで、きちんと把握しておきたいとのことでした。
それぞれの生徒に、NFCを仕込んだ、パズルのピースのようなものを持ってもらい、それを自動販売機にかざすことで、出欠管理や帰宅方法の登録を行う。
ちいさな、自動販売機のようなものをつくられました。Intel Edison や Arduino を仕込んで。
このチームが、一番 IoTなモノヅクリ感がありました。プロトタイプとしての完成度が高かったです。
TEAM E TOWN HACK
町をハックする。なかなか大きなテーマです。
町のあちらこちらに手書きの掲示板を設置。
それだと情報の共有範囲が狭いので、ひろく素早く伝えるために、それをWEBカメラで共有したり、その後、文字認識させてLINE等でも情報共有したりできないかという、提案でした。
このチームも、我々TEAM B TABE HACK と同じく「誰の課題を解決すればいいか」を明確にしにくく苦しんでいたように感じました。
「町の課題」となると町の人(女川にいさん・ねえさん)も、自身が感じていることだけじゃなく「誰かの課題」を想像して伝えることになるから課題抽出がぼやけるんですね。
TABE HACK とか SEA HACK とかじゃなく、鈴木さんハック、岡さんハックのほうがよかったんじゃないかなぁ。
TEAM F EDU HACK
こちらも、TEAM D とおなじテーマです。課題もほぼおなじ、出欠管理等についてでした。
スマホをもたない子どもたちが、いかにしてネットにつながって、位置を知らせたり出席登録するか。
さすがだなと感じたのは、UXというかユーザー体験に「まほうの杖」のようなものを提案したところです。加速度センサーとBLEが内蔵されている仕組みです。
普通だと、腕時計型にしたり、カバンのどこかにBLEバッヂをつけておくとなりそうなところ、子どもたちが楽しめそうな「まほうの杖」型にし、特定の場所で杖を振ることをトリガーに、いろんなデータ操作が始まる。夢があっていいですね。
TEAM G TOWN HACK
こちらのチームは、町ハックの課題抽出が難しいところ、前回女川に集まった時点では、あちらこちらで復興工事のためにつかわれている「ダイナマイト爆破!」を観光資源に出来ないかという、とんでもなく面白い着眼点ですすめようとされていたのですが。。。
さすがにそれは実現が難しいということ、残念っ。
(宅地造成のターンがおわってきてダイナマイト爆破自体が少なくなってきているとも)
で、舵を大きくきられました。
町のあちこちに、笑顔を検出するカメラを設置。
それを地図にプロットするなどして、どこが一番楽しいことがおきているかを可視化する仕組みです。
これはこれで完成度高かったのですが、「ダイナマイト爆破!」への期待値が高かったので、くやしい着地点になったのではないかと感じました。
■ 15:10-15:40 ブースを回り、デモに触れる時間
ここから、一般参加のかたも、デモに触れていただきます。
自分のブースで説明していたため、ほかの状況をしっかりみてませんでしたが、いろいろ楽しんでいただけたんじゃないかなと思います。
うちのARはというと、はい、ずるいです。
見てもらった方は「おー、すげー!」という反応です。
そしてひとりずつしかみれないので、次の方が「はやく、みせてー、代わって〜」となります。
シーパルピアの某店舗の方から「うちになにも表示されてなーい」といわれちゃいました。
情報を置く時間が足りず手抜き状態した。ごめんなさいでした。
開発者としては、ARで町に情報を投影するって、ありがちなネタではあるんですが、自分の町がそうなって見えるって、始めての体験ですもんね。
というか、ARって普通にスゴイ体験なんだなぁと、みなさんの反応を見て、改めて感じました。
そしてARの実現に、時代もおいついてきた。
専用機器がなくても、手持ちのスマホでAR体験が十分楽しめるようになってきたのですから。
機会と若干の予算(SDK利用代金や実験時の交通宿泊費程度?)をいただけるなら、具体化にチャレンジしたいなぁ。
■ 交流会的なBBQ
おいしいほたてや、ほやを焼いていただき、きびきび飲んで、解散です。
なぜ、きびきび!?
みんな遠方からきていて、たとえば東京に新幹線で戻るためには、夕方5時30分ごろにはここを出発しないと到着できないんです。(もう一本遅い19時過ぎ出発でもいいのですが、それだと東京駅着が24時に近くなっちゃって、そこからの移動が大変)
ということで、なんとなく忙しなさが漂う、交流会が終了しました。
わたしも5時半頃に退散。もちろん、そのあとも、ゆっくりと飲み、交流されていた面々もいらっしゃるかもしれませんが。
■ まとめ
最初のキックオフからだと、約1ヵ月。
なんとか楽しもうと、都度「楽しむぞ、楽しむぞ」と自己暗示をかけながら走りきってはみましたが、正直おもしろくなかった、です。
※あくまで私個人の感想です。他のチーム参加者は、楽しかったんじゃないかな。
こういうイベントって、ひとがすべてなんだと改めて思いました。
事務局は、主役を誰として運営したかったのかな。
女川にいさん・ねえさんなのかな、参加者なのかな。
参加者がいちばん接することになるチーム編成は、もっときちんとやってほしかったな。その後のフォローも。
他の部分は、楽しめなかったとしての自己責任として消化できるけれど、決められたチームについては、自分ではコントロールできなかったことなので悔しいかぎりです。
わたしが、こういうイベントを運営するなら、
1) 女川にいさん・ねえさんに、自身の課題についてプレゼンしてもらう。主役は彼・彼女ら。
2) それについて手伝いたい、助けたい、よりよくしたい、楽しくしたい!というひとたちが、それぞれに集う。
(チームも、ひとりのにいさんに対していくつできてもいい。ひとりぼっちチームでもいい)
3) さぁ、Hack開始!
でしょうかね。
人気のあるにいさんがいたり、誰も集まらないねえさんが出ても、仕方ないよと割りきって。
※事務局って大変ですね。関係者全員を満足させるのは不可能でしょうし。
そんなこんなで、Field Hack ONAGAWA が終わりました。
どれかひとつだけでもいいので、実現に向かうといいなぁ。
可能性があるのは、お客さんや利用シーンが明確な SEA HACK かな。
おしまい。