今年の学生部門には中学生・高校生・留学生も参加!果たして勝者は!?

11月26日に開催されたMashup Awards 2016 学生部門賞の決勝。この賞は、「斬新で自由なクリエイティビティを、未来を担うイノベーターに競って頂く場」としてご用意しました。最優秀賞(部門賞)を受賞したチームには、副賞として賞金10万円と、さらにMA2016の決勝であるMashup Battle Final Stageに進出できるシード権が授与されます。

学生の身分であれば年齢は関係無し。チームの応募でも個人の応募でもOK。過去に発表された作品でも応募可。その他はMashup Awardsの基準に準拠するものとしています。

今回はオンライン審査を経た合計10作品がプレゼンテーションとデモで競い合いました。WebサービスやIoTプロダクト、入念に作り込まれた製品からカッとなって作られたものまで!?幅広い作品が集結しました。早速レポートです。

※MashupAwards2016の学生部門賞はJPHacksさんにパートナーとしてご参加頂いております。

審査員紹介

今回、学生部門賞の作品を選出する審査員として、以下3名の方々にお越し頂きました。

    • 塚田 浩二氏 / 公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科 准教授
    • 山本 大策氏 / 株式会社レレレ 代表取締役
    • 村上 友章氏  / JPHacks 運営・株式会社ギブリー

※ 写真左から山本氏、塚田氏、村上氏

なお、学生部門の審査基準は以下の2点です。

  • アイデア:独自性、新規性、優れた着眼点、発展可能性
  •  完成度:実用性、ユーザビリティ、エンタテインメント性

 

それでは、TOP4チームの作品からご紹介します。

■作品紹介

■作品名:Walky/チーム名:東工大メディア研究会
足元だけでなく、目の前の高さのある障害物を検知できるスマート白杖(Walky)
http://hacklog.jp/works/49115
着想の経緯は、メンバーの全盲の従兄弟の課題から、障害物が何でどこにあるのかがわかるデバイスを開発。全盲の方は、トラックが見えない。白杖で障害物を調べながら歩くが、トラックのように出っ張ったものには気が付かず、とても危ない。既存の製品として超音波白杖はあるにはあるが、使い勝手がとても悪いそうです。

ビジョンとして、「危険なものがなぜ危険なのか認識できて気軽に外に出られる世界を実現したい!」とのこと。開発のゴールは、元々の開発経緯であるメンバーの従兄弟の方に使っていただくところをゴールにしているとのこと。次の課題は軽量化とコンパクト化なのだとか。
仕組みはこうです。カメラ経由でサーバー上で画像認識をし、危険だと判断するとRaspberry Piに送信。超音波センサーによって、何がどのくらいの距離か判別。スピーカーは周囲へ迷惑をかけたくないという全盲の方のために、指向性スピーカーを選択。加速度センサーも搭載。3Dモデルも負荷がかからないように意識しています。

デモ:こちらは指向性スピーカーのデモ。

 

学生部門最優秀賞を受賞!おめでとうございます!!

学生部門賞を受賞した東工大メディア研究会には、副賞として賞金10万円と、MA2016の決勝であるMashup Battle Final Stageへの切符が授与されました!

 


続いて、次点となった作品をご紹介。

■作品名:なんとかめーかー りある/チーム名:brick*block
りあるに作って わいわい遊ぶ そして こうぼうせんでガチンコバトル!
http://hacklog.jp/works/49475

ボード側とPC側でに分かれてバトルするゲーム。敵を倒してアイテム取ったり、ボード上でブロックを配置して相手の邪魔をしたりして、勝敗を競う。開発の動機は「カッとなって作った」某ゲーム『なんとかメーカー』が流行ったときに思いついたとのこと。服装もそのゲームを想起させる格好でのプレゼン。
ボードには照度センサが60個使用され、ゲーム画面のドット絵も一つ一つ手作業で作られたなど、手作り感が感じられる作品。筐体は昨日一昨日、ボード自体はプログラムとハードあわせて1週間程かけて開発され、企画には1ヶ月。審査員からも「これはテレビ出演できる!」とオオウケでした。

デモは、対戦の様子です。

とても楽しそうにプレゼンしていて、見ているこっちも笑顔がこぼれてました。照度センサー60個のキチガイ加減(褒め言葉)がMAらしくて好きです。

 


■作品名:ユノミヘ|to YUNOMI/チーム名:Tomohiro YOKOTA
一見マグカップに見えるこの容器は、側面の取っ手が外れることで湯呑みへと変じます。
http://hacklog.jp/works/49350

「食後のお茶が習慣になっていて・・」というお茶大好きな開発者による作品。

「日本のお茶は、容器を手で触れるくらいの温度までお湯を冷まして淹れたほうがおいしいことから、湯呑みには取っ手がつけられていない。」とのことで、本作品もここに着目したデバイス。通常はマグカップ形状ですが、温度が変わると取っ手が落ちて湯呑み形状に変わります。これにより、お湯の温度変化を目と耳で感じることができます!

使い方は、お湯を沸かしてユノミへに注ぐ→取っ手をつけてお湯を冷ます→取っ手がとれたらお湯を急須に移してお茶を淹れる、というもの。温度測定・応答速度は課題ありだが、実用性よりも作品性を重視!応答速度の改善は今後の課題。また、スマホからユノミへを操作するアプリケーションを開発したいとのこと。

デモムービーでは使用場面をご紹介。審査員「シュールですごくいい」。

取っ手がとれ、湯呑みとして利用するかとおもいきや!!!そのお湯を急須に入れるアクションには会場一同「!?」っとなっていました。

 


■作品名:CookBot/チーム名:Team Ants
食材写真1枚だけでレシピ検索してくれるチャットボット
http://hacklog.jp/works/49986
「レシピを探すのが大変」「レシピの全体像がわかってなくて失敗した・・」など、レシピにまつわる様々な課題を解決する、チャット形式のサービス。チャットでレシピを教えてくれます。

CookBotに対して使いたい食材の写真を送ると、画像を解析し、料理サイトのAPIを使用してレシピをいくつか提示。複数の物体を画像認識できるようSliding Windowsを表示してそれぞれ認識するなど、技術的な工夫もありました。絵文字もたくさん!タイマー機能もありますよー。

レシピの全体像がわかるように、作る手順を数学的処理で可視化した「調理全体図」をあわせて提案。これにより、同時に進められる作業が一目瞭然。調理全体図は、テキストから自然言語処理で自動的にグラフを生成しています。今後の展望としては、画像認識の精度向上と高速化。また、LINEバージョンの作成も検討しているとのこと。

食材の画像認識のデモ

 


続いて、今回プレゼンテーションをした他5作品をご紹介します。

■作品名:Sleeff/チーム名:ACLab team-a
あなたの予定や疲労度から最適な睡眠時間,タイミングを提案するアプリです.
http://hacklog.jp/works/49078

「自分の睡眠、気にしてますか?」
たとえば学生だと、テスト勉強、論文執筆などで、つい睡眠時間を削ってしまいがち。しかも、睡眠を削ってるうちに眠ってしまってポカしたり。最近はスマホアプリやウェアラブルデバイスで睡眠を測定するものもありますが、結果を表示するだけで終わっています。こういった経緯から、睡眠の計画をレコメンドしてくれるアプリを作ろうと考えました。

利用者のスケジュール、心拍数、睡眠の質・時間などのデータを得て、睡眠計画がレコメンドされ、効率よく睡眠を取ることができます。レコメンドは、パフォーマンスの値や睡眠実績を踏まえて提示。開発者自身も使用しており、プレゼンテーション当日も「今日はこのプレゼンが21:30終わったらすぐ寝るように言われています」とのこと。今後の展開としては、機械学習による睡眠時間のパーソナライズを考えているとのこと。

操作イメージのデモ

 


■作品名:窓の守/チーム名:チーム窓の番人
いろいろな状況・要求に応じて、自動で窓を開け閉めするサービスです
http://hacklog.jp/works/48292

中学1年生と高校1年生のチームが、福井から参加。

「窓の守」は、遠隔かつ自動で窓を制御できるサービス。窓はモーターのタイヤで制御。mythingsから、天気情報や睡眠情報や災害情報をAzureに送信。MESHやマイコンも接続。いくつかのモードがあり、エアコンモード、外出中モード、メールで不審者を知らせてくれる発見時のモード、災害時のモードなど、多彩。

今後の計画としては、不審者の認識を向上、エアコンモードのスマート家電対応、カーテンの開閉、普通の窓への簡易な取り付け、天候の変化にもっとスピーディーに対応したい、など。現時点のバージョンでは、実際の窓では使用できないとのこと。

デモ:ドアの開閉の様子。「おうちの平和はまかせて、安心しておでかけください!」

出来ていない機能をプレゼンで時間使いすぎ!!もっと人が共感するポイントをシンプルに伝え、今後の展望部分は最後にちらっと話すぐらいにしないと伝えたい事も伝わらないですよ!ハッカソンの審査員の堤さんに「ドアのリモコンという機能で十分魅力的」っていわれてたのに…。
窓のIoT作品は他で見たことがなく、アイデアもとてもいいと思うので、その作品の本質を次はちゃんと伝えてほしいです。

 


■作品名:HairSelfy/チーム名:5億円ほしい
ヘアアレンジの際に死角となる 範囲をカメラで撮影し,適切なヘアアレンジ方法を指南するシステム
http://hacklog.jp/works/50034
「ヘアアレンジが想像していた仕上がりにならない・・」。ヘアアレンジが苦手な人のこうした悩みを解決。後頭部を撮影してヘアアレンジ方法を指南するスマホアプリと、スマホをサーボモータで動かすための機構。

ヘアアレンジについてはYoutuberなど動画での解説情報も増えてはいますが、動画を見ると鳴ると止めたり再生したりといった手間がある。実際にユーザーテストをしていて、「これならわかる。できる」と感想をいただいているとのこと。

コレを使えば編み込みできるようになるかな?

 


■作品名:Emmer/チーム名:FUNKey
顔からユーザーを認識し,ユーザに合わせて日々の欲しい情報を音声で届ける置物
http://hacklog.jp/works/49146
朝のいつもの支度の中での「あったらいいな」を実現したいと考え、開発されたデバイス。

使い方は簡単で、Emmerの前にいるだけでOK。話しかける必要もなし。最初だけスマホで自分の顔と興味のあるニュースを登録し、あとはEmmerを設置すれば、たとえば朝の歯磨き中にニュースを読み上げてくれます。情報は他にも、電車の遅延情報やスケジュール、天気などを知ることができます。

Emmer本体としては、Raspberry Piにカメラが装着されており、そこから写真撮影してOpen CVを使用し、Face++で識別。ニュースはRSSから、お天気情報はYahooの天気APIなど。
今後の展開としては、ユーザーの日々の変化を解析し、髭や髪の伸びを見て美容院の予約をしたり。ライフログ機能で、遠くの家族に体調を知らせるなども提供していきたいとのこと。

とてもいい作品なのですが、正直よく聞く作品でもあります。だからよくある作品との「差別化」を求めてしまいます。面白いインタラクションなどを取り組むと、学生らしい差別化がオンされるのかなーっと思ったり。
また、今後の展開の、「気づかないことを気づかせる」という部分はとてもいいので、この部分をすこしでも実装すると、また違う展開が見えるかも!?

 


■作品名:Writype/チーム名:a.k.a.長男旅団
手書きフォントの集合知を作ることで手書きレポートを偽造するアプリ
http://hacklog.jp/works/49257
九州から参加。「何故ITが発展した現代に手書きレポートなの!?すごく大変!」といった、手書きレポートへの問題意識から開発。

使い方は、手書きフォントを自分で作成し登録→その後文字を打つと自分の作ったフォントで手書きぽい文章が作れます。既存の手書きフォントを使ってもバレるので、手書きフォントのデータベースを開発。フォントを共有して、似ている人をグルーピングしていきたいとのこと。

実現する未来としては、手書きレポートの作成時間を短縮し、バイトや恋愛やハッカソンに時間を割くこと。真剣に手書きレポートを見直すことになれば。

今回の作品の最低限の機能の実装が出来ていなかったのが残念。手書き風のレポートがでてくるところまで見てみたかった。
MashupAwardsは同じ作品でも機能追加されていれば来年も応募可能です。アイデアは面白いので、開発を続け、実装したものを是非来年みせてもらいたいです。

 

発表された作品は以上です。

 

■touch&try

プレゼンテーション後は、Touch and Tryでみんなの作品を触ったり質問したり。ブロック、野菜、窓など、カオスな現場です・・。

審査のためなら女装だってするぞ!

CookBotの画像認識用の野菜たち

対戦!ドットも筐体も作り込みがすごい・・(2日で作られたそうです)


審査員対決です!

懇親会はピザとビール!※ただし未成年はソフトドリンクですよ!

 

■審査発表

最後は審査発表。最初に上位4作品が発表され、最後の最優秀賞1つが発表されました。

そして最優秀賞は、全盲の方向けのIoT白杖「Walky」!おめでとうございます!(スタッフがなぜか女装しておりますが気にしないでください)

 

審査員のみなさまからいただいた講評はこちらです!

・塚田 浩二氏 /公立はこだて未来大学  情報アーキテクチャ学科 准教授
「うちの大学の卒検の内容にも負けないくらいでした。Walkyは、たしかなモチベーションにアイデア・実装を積み重ねている。全体の完成度が抜けていた。CookBotはすごい作り込みでした」

・山本 大策氏 /株式会社レレレ 代表取締役
「今までも審査員をしてきたが、すごかった。アイデアはユノミへとWalky、完成度はCookBot。僅差。ユノミへは惜しかった。取っ手が取っ手じゃなかったので笑 共通して言えるのは、作品名がよかった!」

・村上 友章氏 /JPHacks 運営 ・株式会社ギブリー
「どのプロダクトも素晴らしかった。結果によらずこれからも継続開発をしてほしい。また皆さんのプロダクトに出会える日を心待ちにしています!」

当日のイベントの雰囲気や盛り上がりは、TwitterのつぶやきまとめとFlickrの写真も是非ご覧ください!

・つぶやきまとめ http://togetter.com/li/1052976
・イベント写真 https://www.flickr.com/photos/100125183@N08/albums/72157675516273291

皆さん、本当にお疲れ様でした!
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こちらのレポートも、Io(A)T部門に続き、当日のTwitter中継もお手伝いいただいた「谷口正樹さん」に書いていただきました。
素敵なレポートをありがとうございます。

 

蛇足

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今回の学生部門賞はとてもレベルが高く、社会人の作品と十分張り合えるものがたくさんありました。「CookBot」は学生という枠を飛び出して、関東代表として2ndSTAGEの権利を獲得しています。

ただ、やはりプレゼンの部分で差が出てしまっている気もします。その場での「デモ」が少なく、「作品」として完成しているのか?その部分が微妙な作品が多かった気もします。MashupAwardsは基本的に「Demo or Die」です。

今回部門賞では敗れてしまったけれど2ndSTAGEに参加できるチームもちらほらいます。2ndSTAGEでは60作品の発表を聞くことになるので、いろんなプレゼンを見ることができ、勉強になると思います。
「部門賞で負けてよかった」って言えるぐらい2ndSTAGEを楽しんで欲しいです。
全国にエンジニアの友人もできますよ!

そして、2ndSTAGEにでるということは、まだ100万円のチャンスはあるということです。部門賞決勝のいいところは、有識者の方に作品を見てもらい、意見をもらえるところ。その意見を取り入れたら、実は次に同じ舞台に立った際に、勝ってしまうこともありえます。

 

 

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