シルバーウィーク前半に行われたハッカソン「 HackCars Days 2015 〜Automotive × Telematics Hackathon〜」のレポートになります。

テーマは「ヒトとクルマの一歩進んだ関係」です。

 

トヨタ、MAZDA、スバルの自動車会社3社が共同で企画したこのハッカソン。MashupAwardsとしては運営協力させていただき、かつ最優秀賞チームには、副賞としてMA11の2ndSTAGE進出権利を提供しております。

200万円まであと2つという近道を手に入れたチームはこちらです。

 

 

■作品名: DoRoad / チーム名:市川電産

正しい酷道データを作ると同時に、匂いや音楽などで運転ストレスを解消するサービス

 

今回は、こちらの審査基準を元に以下の審査員の方に審査をお願いしました。

 ①アイデア (独自性、新規性、優れた着眼点、発展可能性

 ②完成度 (実用性、ユーザビリティ、エンタテインメント性

 ③デザイン  芸術性、優れた表現技法

 

 ・佐原直哉氏  (富士重工業 スバルグローバルマーケティング本部 次長)

 ・山寺純氏(Eyes JAPAN 社長)

 ・池澤あやか氏(東宝芸能 タレント/プログラマー)

 ・梶山浩氏(マツダ 商品本部主査)

 ・長田祐氏(トヨタIT開発センター プロジェクトマネージャー)

 

それでは、今回のハッカソンで作られた作品を、最優秀作品から紹介していきたいと思います。

■発表作品

まずは最優秀作品からご紹介します。

 

<最優秀賞>

■作品名:DoRoad / チーム名:市川電産

hacklog.jp/works/3768

正しい酷道データを作ると同時に、匂いや音楽などで運転ストレスを解消するサービス

ナビに酷道へ連れて行かれたことないですか? それは、正しい酷道の情報がないからです。走行データ(車線変更やブレーキ情報)や運転中の顔の表情などで走行ストレスを把握し、酷道の際には匂いや音楽でストレスを軽減したりします。そして正しい酷道の情報が蓄積されていきます。

 

デモ動画

 

 

 続けて、今回発表された他10作品もご紹介します。

 

 


 

■作品名:怒りの俺ーダー/チーム名:チェリーブロッサム

hacklog.jp/works/3771

自分の危険運転を指摘したり、自分の危険運転を周囲に伝えたりするガジェッド(マックスくん)

マックスくんはダッシュボード上に配置することで、落ちたりすると持ち主を諌めます。モヒ感応レーダはモヒカン走行(急停車急発進)した人をみつけます。優しさだけでなく厳しさをもって運転手を諌めるというのがこの作品のいいところです。

 

デモ動画

安全安心を他の人とは違う表現方法で作ってしまうこの作風、大好きです。これぞハッカソンでしかできない作品だと思うんです。でもシステムって表の側を変更するだけで、普通のサービスとしても利用できますよね。そこもITのいいところなんじゃないでしょうか。

 

 


■作品名:ワクワク安心ドライブ コンシェルジュ

hacklog.jp/works/3764

外国人のための一生の思い出になるドライブ旅行体験を提供するサービス

具体的には、旅行前の下調べの負担を軽減し、来日してレンタカーに乗り込めば、iPad/スマホ用アプリがコンシェルジュを務め、以下のおもてなしを提供します。①穴場、感動スポット案内し、②ドライブ中の安心、安全の確保し③記録に残します。

 

 

こちらの作品は日立建機賞を獲得しました。おめでとうございます。

 

 


  ■作品名:T子とその製作者たち

hacklog.jp/works/3763

マイカーの状況を家族がモニターするスコアボード

危険な運転や、グッドドライブのスコア、アクシデントをボードに表示します。バットスコアの場合はT子に叱られ、グッドスコアだとほめてもらえます。

バットスコアだと、ナビを自宅に設定して、自宅に強制送還されるなども。

 

デモ動画

 

こちらの作品は日立建機賞を獲得しました。おめでとうございます。

 

 


■作品名:ガシャポン /チーム名:チームV8

hacklog.jp/works/3760

災害派遣のための車両監視システムおよび監視用デバイス

災害対策本部の経験がアイデアの元。そもそも車両がないというところにフォーカスしています。その時の対応はレンタカーやタクシーが活用されます。

車のiPadアプリからデータを送信。「ガ車ポン」によって、車両のOBDコネクタにデバイスを接続するだけで、車両のデータをサーバに送信し、本部の監視下に置くことができるようになります。

 

デモ動画

 

こちらの作品は双日賞を受賞されました。おめでとうございます。

 

 


hacklog.jp/works/3758

『トラック・バスが大きいので2台前の車のブレーキランプが見えない問題』を解決

Bluetoothを使ったV2V(車両間通信)で解決します。追突事故を減らしていきたい。ダッシュボードにスマホを追いて表示させます。

 

デモ動画

小さなミニカーを解体して作られていたプロトタイプは素晴らしかったです。実現させるには、技術的な面としていくつか課題はあったものの、アイデアとしてはとても面白い試みだったと思います。

 

こちらの作品は日立建機賞を獲得しました。おめでとうございます。

 

 


■作品名:”HIMHER” /チーム名:TEAM AUTO

hacklog.jp/works/3757

「クルマとヒトをつなげる”BOND”」

まわりにクルマ好きが少ないんです。でもこちらのサービスは車に感情移入できるサービスだと考えています。ドアの閉め方や洗車の回数によって愛し方がわかるんじゃないか?車の感じた幸福感を感じることができれば、新しい車と人との関係が生まれると思っています。

 

実装を考えないアイデアソンではよく出るアイデア。個人的には車も一つのロボットだと思っていて、どんなふうに擬人化できるのか楽しみだったんですが、実装は厳しかったようでした。

 

こちらの作品はトヨタI開発センター賞と三井物産賞を受賞されました。おめでとうございます。

 

 


■作品名:O’dear/チーム名:CASO

hacklog.jp/works/3755

運転中の野生動物発見情報を、後続や周辺のクルマに共有して、注意喚起をするサービス

車と動物との衝突事故は世界的にも多い問題。オーストラリアではカンガルーとの衝突事故多数だそうです。

突然あらわれる動物との危険回避もそうですが、子どもにとっては出会える期待感もあります。車が野生動物を見つけて、周りに教えてくれるといった、 普段どおりの運転をしているのに、知らない間に誰かの役に立っている世界を作りたいと思っています。動物を見つけたら、位置情報も地図上に表示。 そして音声認識で教えてくれます。3者(車、人、動物)1体のハーモニーを作っていきたいとのこと。

 

デモ動画

解決したい課題に対して最適な解決方法ではなかったかもしれませんが、今回提供いただいたAPIをうまく組み合わせて一通りのプロトタイプに仕上げてきたところは流石です。パンダなどマイクロソフトで試せる画像認識を試したというエンジニアとして技術を遊んでみた感は、ハッカソンっぽくて好きでした。高速で動いている状態での画像認識は厳しいですが、発表でもいっていたように、サファリパークなどでのサービスであればいいかもですね。

 

こちらの作品はSUBARU賞を受賞されました。おめでとうとざいます。

 

 


■作品名:Car Selfie/チーム名:車美人

hacklog.jp/works/3754

クルマの自撮り&加工を自動で行う写真シェアサービス

自分の愛車の写真もとりたいですよね?画像認識の結果で写真が撮られます。シェアする側は地点毎に写真がアップされます。観光地や景勝地にカメラを設置し、愛車で所定の場所に停車すると自動で写真を撮影してくれる”自撮り”システムを構築。撮影した写真は当日の運転状況などに応じて適切な加工が施され、撮影日時や撮影地点の情報とともにサーバにアップされます。

 

デモ動画

自分の車のプロモーションビデオって、クルマ好きだったらちょっと憧れますよね?そんな世界が作れたら、車好きにはとっても喜ばれるサービスだなーって思いました。 テーマ「ヒトとクルマの一歩進んだ関係」にとても合っている作品だと思いました。

 

こちらはMAZDA賞を獲得しました。おめでとうございます。

 

 


■作品名:いつCOM?/チーム名:マトリックス

hacklog.jp/works/3748

お店の混雑具合が分かる便利サービス

クルマの駐車や位置情報から待ち時間を予測し、ユーザーに対してお店の待ち時間を表示。指定した時間の周辺で、待ち時間がどの程度あるかを簡単に理解出来るサービスです。

 

 

こちらの作品は日立建機賞を獲得しました。おめでとうございます。

 

 


■作品名:TERIYAKI TAXI /チーム名:6人組

hacklog.jp/works/3746

セキュリティリスクが高い地域、言葉が不慣れな海外でも、旅行者が安全・安心にタクシーに乗れるサービス

海外出張のタクシーってとっても不安。TERIYAKI TAXIの事前認証システムのよって、安全安心にタクシーにのれます。決済は事前に行われ、最短ルートを選んでの決済なので、ぼられる心配もありません。そして、タクシー側はかねはらいのいい法人を定期的にお客に出来ます。

 

デモ動画

 

こちらの作品はニフティ賞を受賞されました。おめでとうございます。

 

 

 

今回発表された作品は以上です。次に時系列でイベントの様子をお伝えしたいと思います。

 

■イベント風景

シルバーウィークというのに沢山の人が参加してくれました。場所は柏の葉のコワーキングスペースのKOIL。 広々とした空間です。

 

 

・イントロダクション

まずは、今回司会をつとめる伴野さんから、ハッカソンのテーマについての説明です。

今回求めているサービスは、自動車メーカでは思いつかないような以下の様なアイデアを求めています。

 ・斬新なアイデア、新しいクルマ社会のあり方

 ・BtoB向け車両データのアッと驚く活用方法

 ・安心して快適に走るためのサービス

続けて、トヨタIT開発センターの長田さんから開会宣言です。

 

 

早速アイスブレイク。司令は「クルマ×○○」です。

 

 

書いたらテーブル内で共有します。クルマ×公園という案がありましたが、いいですね!!

 

 

 

・インプットタイム

まずはクルマデータの活用について、のお話です。主催の1社でもある、富士重工業から!
スバルブランドを磨く6つの取組みのお話など。SUBARUといえば、アイサイト!

 

 

続けて双日からは、海外におけるBroB事業へのクルマデータ活用の説明です。

各業界におけるマーケットの困り事のお話など。

 

 

続けて、今回のハッカソンでサポートいただける4つのAPIの説明になります。

 クルマ情報API(トヨタIT開発センター)

  └GPSの位置情報、車速やエンジン回転数などのクルマの制御情報や、急ブレーキの発生状況などの統計情報が取得可能です。

 VoiceText Web API(HOYA)

 └高性能な音声合成VoiceTextが利用可能なWeb APIで、「喜」「怒」「悲」の3感情を表現出来る「感情音声合成」もあります。

 mobile backendMQTTなど(ニフティ

 └mBassサービスのmobile backend、IoT・M2M・モバイル時代に最適な軽量でシンプルなメッセージ配信プロトコルであるMQTTなど。

 AzureProject Oxfordなど(日本マイクロソフト

 └PHPやNode.jsなども使えるクラウドプラットフォームであるAzureや、画像認識技術のProject Oxfordなど。

  

 

 

・アイデアソン

ここからはアイデア考えていく作業です。さきほどお話いただいた情報をもとに、今回のハッカソンで作りたいアイデアを考えていただきます。

 

 

考えたアイデアを周りの方にぶつけ、アイデアに更なる刺激をもらいます。これを3セットおこないます。

 

 

みんなに聞いてもらいたい!!というアイデアをお持ちのヒトは先着5名まで前で発表!

 

 

そして、チームビルディングです。

 

 

チームができたらチーム名とサービスタイトルを決め、初日は終了です。

 

 

2日目の朝は、チームの代表者2名がスバル自動車取得データ講習会からはじまります。

 

 

そして10:30からは、全員が集まっての開始です。現時点でどんなサービスを考えているのかみんなにシェアします。
(アイデアはまだ確定しなくても大丈夫ですよー)

 

 

 

・インプットタイム

2日めは以下の3社からのお話になります。

 ①MAZDA:「人間中心のコネクティビティ」
 └もっと人間的な意義のためにコネクティビティを使っていきたいというお話など。

 ②三井物産

 └危険な運転と上手な運転について、急ブレーキが少ないから上手な運転とは限らないというお話など。

 ③富士通テン:「クルマ情報WEBAPIで使用するクルマ情報について」
 └車速、進行方向加速度、アクセルペダル踏み込み率、エンジン回転数等のデータなど、どんなデータがとれるのかというお話など。

 

 

 

・アイデアソン+ランチ

2日目のインプットを終え、アイデアをさらにブラッシュアップするためのアイデアソンをランチを食べながら。

 

 

このアイデアソンで、今回のハッカソンで作られるアイデアを最終的にきめていただきます。

 

 

 

・アイデア宣言

そして今回作られるアイデアの発表です。(2日目のアイデアソンを経て、新しく1チームができあがりました)

 

 

 

・ハッキングタイム

おまたせしちゃいました。ここからはチーム毎に自由な時間です。アイデアはかたまりひたすらもくもくするチーム。

 

 

さらにアイデアを話しあったり、役割分担などを決めるチームも。

 

 

 

・晩ごはん

2日目ご飯はピザです!こちらはAPI企業の方々も一緒のテーブルでワイワイと!

 

 

そして、現在どのぐらいまで開発が進んでいるのか?の中間発表です。困っていることもシェアしてみてください。

 

 

ハッキングタイムはまだまだ続きます。22時のラストまで多くの人が残ります。

 

 

3日目の朝はレッドブル+モンスター(すぐおわったよ)

 

 

そしてランチもはやい時間に提供です。(好きなタイミングで食べてねー)

 

 

あとはひたすらもくもく

 

 

走行データの取得のためちょっと外へ。ちょうどバスがきて撮影チャンス!!

 

 

じょじょに作品できてきたよー。

 

 

怪しい物も見つけました!

 

 

追い込み追い込み

 

 

そしてハッキングタイム終了です。発表会場でみんな時間をまちます。

 

 

 

・作品発表

質疑もうけながら発表がはじまりました。

 

 

寸劇を披露するチームも多数で、場を盛り上げます。

 

 

発表が終われば懇親会

 

 

みんな安堵した表情です。

 

 

そしてとうとう審査発表です。まずは企業賞から!

 

 

日立さんは4チームに!副賞のトミカのミニカーは争奪戦!

 

 

そして、最優秀賞はDoRoadです!池澤さんからトロフィーを授与。副賞には時計やワインも!!

 

 

最後はみんなで集合写真!みんなお疲れ様でした!

イベント関連リンクこちらをみていただくと、イベントの盛り上がりがより伝わるかと思います!

●つぶやきまとめ(togetter)
http://togetter.com/li/876146

●イベン写真(flickr)
https://www.flickr.com/photos/100125183@N08/albums/72157658869367315

蛇足

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ハッカソンをたくさんしていると、よくでるアイデアには興味がなくなってしまい、他とは違った視点の作品や、ハッカソンならではの作品に魅力を感じてしまいます。今回の作品の中で自分が好きだなーっと思った作品は「怒りの俺ーダー」。そして、「O’dear」。

 

「怒りの俺ーダー」はハッカソンならではの作品だとおもったんですよね。それは、自動車メーカーの人が仕事の中で思いつくものではなく、そのまま使えなかったとしても、新しい刺激や視点を気づかせてもらえるとても良いことだと思ってるんです。そして、なにより、自分の作りたいものを表現することもハッカソンのいいところの一つ。

 

そして、O’dearがフォーカスをあてた「獣害」問題は、地域問題の中でもとても重要なこと。CivicTech系に興味のある私としては、とてもいい視点だなーっと思ってしまったことと、CivicTech的テーマではないこのハッカソンで、この作品がでてきたところがすごいなーって思ったんです。また、ハッカソンという短時間に中で何ができるのか?という絞込がきっちりできた作品で、その点ではハッカソンらしい作品だなーと思いました。アイデアだけでなく動くものをつくることでイメージが全然変わったりしますからね。

 

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