「アイデアは陶芸やレゴみたいなもの。目標をもってつくったり、作ってるうちに目標が見えたり」

これは、毎年福井で行われるMashupSummitで語った、MA2016の覇者である栗原一貴さんの言葉です。 そして、偶然なのか、必然なのか、他の登壇者の方も似たような言葉を伝えられていました。

「頭で考えてわかるなら、モノは作らなくていい。作って発見できることはすごく多いよ!」
この言葉は、今回決勝に残った作品でもある「トイレの神様」の土井伸洋さんの言葉です。「トイレの神様」は、トレイの個人特定が評価されていましたが、それは作りながら見えてきたことでした。

頭で考えてわかるようなものはワクワク感は少ないですよね?だって、わかってたことだから。目標をもって作ることは悪くないですが、想定範囲外の発見があったほうが、人はワクワクするのだと思います。
そんな想定範囲外の楽しいこと(ワクワク)に出会う方法の一つは、まず作ってみることなのではないかと、私は思います。

っと、前置きが長くなりましたが、MashupAwardsの受賞者が多数出演し、開発秘話などを語るイベントである、「MashupSummit (マッシュアップ・サミット)2017 in FUKUI 」が2月12日に福井の産業支援センターで行われました。上記はその感想です。

毎年この時期に行われているこのイベントは、MashupAwards受賞作品の裏側の話を中心に、作品発表のイベントでは聞けないことばかりなのでいつも楽しみにしています。
主催はMashupAwards事務局ではなく、ふくい産業支援センターさんです!(ありがとうございます)

今回のイベントで、開発秘話を話してくれたのは、以下の5つの作品です。
YouTubeの映像と連動したマッシュアップ作品を簡単に作れるJavaScriptフレームワーク by栗原さん
どこでもMステ by上坂哲教さん&加藤公徳さん
なんとかめーかーりある by高瀬里奈さん
トイレの神様 by青島英和さん&土井伸洋さん
窓の守 by三崎雅史さん&永宮正陽さん

今回の目玉は、なんといってもMashupAwards2016の覇者である栗原さんのお話。
過去に、イグ・ノーベルを受賞されたことのある栗原さんの「斜め上の発想のために大切なたった3つのこと」は、MashupAwardsが好きなエンジニアであれば、きっと必見な内容かと思います。
今回はその栗原さんのありがたいお話を中心にレポートしていきます。

 

■斜め上の発想のために大切なたった3つのこと

今回、栗原さんからは、以下の2つについてお話いただきました。
1.「YouTubeの映像と連動したマッシュアップ作品を簡単に作れるJavaScriptフレームワーク」に関して
2.斜め上の発想のために大切なたった3つのこと

・・・が、本稿では、後半部分だけお伝えします。それは、いつものMashupAwardsでは聞けないお話であり、みなさまにお伝えしたい内容だからです!

斜め上の発想のために大切なことは、以下の3つ!とのことで話がはじまります。
①SFよ。ついてこい
②ギリギリグレーゾーンで生きています
③仕事はしますから養ってください

「物議を醸しだすモノづくりを稼業とする科学者・エンジニアの私の思想なので、普遍性があるのかはわかりません」
との前置きをしながら話が進みますが、この会場に来ている人は「物議を醸しだすモノづくり」に興味がある人ばかり。みんなワクワク感がとまりません。

 

■SFよ。ついてこい!
「ミッション・インポッシブルみたいな…」など映画のシーンを例え話にする人は多いですが、これ、工学(科学)的には敗北とのこと。
SF執筆時よりも多くの技術と情報があるのに、工学はSFを追いかけているようではダメです。
スピーチ・ジャマー(栗原さんがイグノーベル賞をとった作品)は、小学館の人が絵にしてくれたそうです。(つまりドラえもんの世界に引用されました。SFがおいかけてきた事例です。)

続いて、SFと工学の違いについて説明を続けます。
妥当な未来像を示すことで人類に示唆を与えることは同じですが、SFは現在からの大きな飛躍を許容するところに違いがあるとのこと。(栗原的な)工学は現在の技術から奇想天外な応用をし、若干の物語力を付加して、奇想天外で妥当な近未来像を生み出します。
人々が感情的になるような奇想天外な応用技術が生まれれば、より奇想天外な未来が語れるようになります。

そして以下のメッセージを会場に強く訴えます。
「SFよついてこい! 全てを予言書にかかれていた!は工学の敗北だ!」

 

■ギリギリグレーゾーンで生きています

「アイデアは陶芸やレゴみたいなもの。目標をもってつくったり、作ってるうちに目標が見えたりします。」と力強く語ったあと、アイデア出しについての話に移ります。

1.面白い組み合わせを常に思考・実験する
この時点では大体が個人的動機なので、他人とシェアしなくていいそうです。そして、「多数決的に決められたものはあまり尖っていない」との一言も添えられました。

2.アイデアの幅を考える
優れた技術を見つけたら、無難な応用から犯罪までグラデーション的に考え、その時点で周りの人と議論するそうです。「この幅こそが発想の価値」とのことです。

3.やることを決める
執行機関と議論し、やることをきめます。企業ならマジョリティ狙い。個人・小規模研究ならマイノリティ狙い。世捨て人ならギルティ狙い(?)


■仕事はしますから養ってください
3つ目はインドの苦行僧サドゥのお話です。
みなさまは「サドゥ」をご存知でしょうか?サドゥは、インドの苦行僧で、自らに苦行を課す…いわゆる変人です。理解不能で真似出来ない苦行に一生を捧げるサドゥに、人々は尊敬し、托鉢により社会に扶養されているそうです。変人との社会契約が成立しています。

「サドゥを変態エンジニアに置き換えても同じなのではないか?」栗原さんはそう訴えます。
一見役に立たない対象を研究している科学者は、人類が安心して生活できるように、人類の想像力の限界に挑戦しているからこそ社会に養われているのです。
奇想天外なアイデアを考えるのが仕事。だとしたら、イグノーベル賞一覧には本当に奇想天外なもの(あらゆるくだらないもの)があるので、そんな変態エンジニアにはおすすめとのことです。

 

■おごるなかれ あなどるなかれ
最後に、以下をそれぞれのまとめとして、発表を締められました。
①現実を考えることが多様な空想を生む
②シーズ選びは基礎力。「着地点」選びが戦略
③おごるなかれ あなどるなかれ。
そして、おまけ的に「MAと私」についても発表いただきました。

その中で気に入ったフレーズはこちら。
「時に若者に無様に負け、時に若者をなぎ倒す」
いつまでもプレイヤーでい続け、多くの参加者や若者、そして私達事務局にも刺激を与え続けていて欲しいです。

 

今回、ブログが長くなってしまったので、開発秘話のお話は後編へと続きます。
後編は以下の4作品の開発秘話になります。
どこでもMステ by上坂哲教さん&加藤公徳さん
なんとかめーかーりある by高瀬里奈さん
トイレの神様 by青島英和さん&土井伸洋さん
窓の守 by三崎雅史さん&永宮正陽さん
「チームはすごい苦労するものだという潜入があったけど、学びもおおく、意外にいけた。その要因は…」という土井さんの話も必見なので、お楽しみに!

こちらをみていただくと、イベントの盛り上がりがより伝わるかと思います!
●つぶやきまとめ(togetter)
https://togetter.com/li/1080430

蛇足

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実は、とてもうれしい発表があります。
今回のMashupAwards2016の最優秀作品である「YouTubeの映像と連動したマッシュアップ作品を簡単に作れるJavaScriptフレームワーク」のハッカソンの日程が決定しました!
2017年6月3日(土)です。銀座です!MTLです!
詳細はまだきまってませんが、みなさま予定を開けておいてくださいね。
以下にも記載のある、CompassコミュニティFacebookグループなどへ登録して、連絡をまっていてください。

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<MashupAwardsイベント情報 >

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